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社会福祉法人 一羊会 ICHIYOU-KAI

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2021年06月05日

薪割り作業についての話

写真は、西宮市にある「甲山自然の家」にて利用者の方達が薪割り作業をしている様子です。

武庫川すずかけ作業所と上甲子園すずかけ作業所の利用者の方達が行っている仕事の一つに、キャンプ場で使用する薪を割る作業があります。

 

「まき割り」と聞くと、切り株目がけて斧を振り下ろす絵を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、利用者の皆さんが行っているのは機械を使ったやり方です。この薪割り機は比較的シンプルな構造なので、利用者さん自ら機械を操作して頂いています。自らが主体的に作業を進められる点や、自然に囲まれた中で行える作業ということもあり、利用者の方々からも人気の高い作業です。

 

この仕事を数年前から一羊会に委託してくださっているのが「西宮市立甲山自然環境センター」さんです。

今回の取材では、センター長であられる小川さんに、この薪割り作業の背景にある環境保全の取り組みについてお話を聞くことができました。

 

甲山自然環境センターでは、甲山自然の家や社家郷山キャンプ場など4つの施設を運営しながら、「甲山グリーンエリア」と呼ばれる甲山周辺の環境保全活動を続けておられます。

西宮市が目指しているのはこの「甲山グリーンエリア」を「都市型里山」として保つ、ということです。

自然環境を保全し、生物多様性をより豊かな状態で次世代に伝えるための取り組みをされています。

 

山に里山としての機能を持たせるには、人が山の草木に手を入れていかなければなりません。

その働きかけの一つとして、木を適宜伐採し、キャンプ場で使われる薪材として加工しています。薪にならない様な細い枝は、細かくチップにして落ち葉と一緒に堆肥にして土に還します。そうして豊かになった土壌がまた山の草木とそこに生息する生物達を育んでいく、こういった循環が山を里山として維持していくには不可欠なのだそうです。

 

利用者の皆さんが行っている「薪割り」作業が、実は「森の循環」を支える役割の一旦を担っていたという衝撃的な事実。

「キャンプ場で使う薪を割るアウトドアな作業」といったライトな認識しか持っていなかった筆者は自分を恥じました。まさかこんなに壮大な背景があったなんて… 驚きでした。

 

センター長の小川さんは、この薪割り作業の役割を福祉施設に担って欲しいという思いから、一羊会に業務委託のお話をくださったそうです。「SDGs」「農福連携」といった観点からも、これからの時代に環境保全活動と福祉との連携は絶対に必要だとの思い。本当に有難いです。

 

こういった地域の皆さんの思いや支えがあるということ、しっかりと胸に留めていたいと思います。

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